00税理士新聞

第1180号(2006年12月5日号)
税理士新聞に掲載されました。
以下の内容が掲載記事全文抜粋
一般的な会計事務所は、顧客にとって入りづらいイメージが強い。そのため、「事務所の敷居を低くする」といった目標を掲げる会計事務所も多い。だが、理想と現実の差は大きく、従来のイメージから脱却できない事務所がほとんどだ。そんななか“イメージチェンジ”に成功しているのが、山内税理士事務所。”経理コンビニ”というサービスを展開し、沖縄における会計事務所のイメージを変えつつある。
山内竧税理士が事務所を構える「おもろまち4丁目」は、ゆいレールのおもろまち駅が設置されたことや、免税ショッピングが楽しめるDFSギャラリア・沖縄がランドマークとなっていることなどから、ここ数年、地価上昇率が県内屈指の伸びをみせている。しかし、山内税理士には、過去に16億円の借金を抱えたことがあった。
完済が近づいたとはいえ、まだ借金が残っているし、過去の16億円という数字はうがった見方をされてもおかしくないものです。ビルのオーナーは普通、そんな相手に部屋を貸してくれません。
それでもここに事務所を構えることができたのは、私の熱意を真剣に伝えたからだと思います。ここを拠点にして、企業のグローバル化や、同時に地域密着の経営支援を行っていきたい。沖縄の役に立ちたい。そういった“思い”です。その姿勢を買ってもらえたのだと思っています。
私は以前、東京の会計事務所で働きながら税理士試験の勉強をしていました。当時、沖縄には試験のための学校がなかったのです。そこで、沖縄に戻ってからそういった施設を立ち上げました。優秀な人材が流出することなく県内で育ち、沖縄が発展するのを願ってのこと。「沖縄の役に立ちたい」という思いはそのころからありました。
ちなみに、16億円の借金を抱えたうえで一番大きかったもののひとつは、関与先の土地の有効利用や地域活性化を願って開設したボウリング場ですね。自分がカバーできる領域を過信していたのかもしれません。
事務所は真新しいビルの2階にある。1階は、コンサルティングハウス「ライフプラス」と称するショールーム型の店舗。“経理コンビニ”というサービスの下、ワンストップで顧客の要望に応える“来店型”の事務所を具現化したものだ。このサービスが機能している背景には、山内税理士の積極的なアピール活動に加え、“近所付き合い”がまだ残る地域だからというのもあるのかもしれない。
事務所の運営方針を固めていく際、九州から北海道までたくさんの事務所を参考にさせてもらいました。幅広い活動をなさっているところや身の丈にあった運営をされているところ、いろいろな会計事務所があります。沖縄に足りないサービスを発見することも少なくありませんでした。
来店型会計事務所を展開
グローバル化と地域密着の両翼担う
そうしたなかで、事務所を巨大化する方向性ではなく、とにかく客が入りやすい事務所にするのが自分の考え方に馴染むだろうという結論に至りました。それを押し進めて、“来店型の会計事務所”を謳っているわけです。
そこで、料金体系も不明確なものじゃなくて分かりやすいものを作ったし、広告のポスティングも熱心に行いました。また、来店型会計事務所サービスを最も具現化しているサービスが「経理コンビニ」です。
1階のカウンターには、必ず担当者が常駐しています。生活上の疑問を解決したいお客様は、まず内容をカウンターで伝える。担当者が窓口になって、客がたらい回しにされないよう、適切な専門家につなぐ判断をします。案件によっては、一緒に司法書士先生のところに行って、お客様の言葉を専門家に伝えるということもしています。
また、カウンターに書類を渡しに来るだけのお客様もいる。ほかの作業をしている職員がずらっと並んでいる部屋よりは話しやすいかもしれません。
もちろん来店型だから、駐車場は用意しているし、キッズ・スペースもある。見た目も従来の会計事務所と違って明るいものになっています。
気軽に入れる店舗作りのために、カフェとか携帯電話ショップとか、いろいろな店舗を参考にしました。「あの家具はどこで仕入れたのでしょうか」って問合わせをお店にしたり(笑)
そういうのが好きだというのもあります。
「来店型にしているから、料金も安くできる」ということもお伝えしていますね。このビルに移転してからの2年間弱で、50件以上の新規顧問先が増えました。
顧問先が満足するサービスを提供すると共に、職員を考えた経営にも余念がない。先述のビル移転時には、「職員が誇りを持てる事務所にしたかったし、より高いステージに連れて行きたかった」という思いもあったという。職員を思っての独特な事務所運営法も実践している。
1日の行動が書き込まれたホワイトボードを見て、「今日こんなところに訪問するんだ」と初めて知ることがあります(笑)。というのは、スケジュールを決めるのは私ではないから。
職員一人ひとりが私との同行スケジュールなどを勝手にホワイトボードに書いていくんです。
そうすることで、私も顧問先と直接対話ができる機会が増えるし、職員は「所長がバックについている」と感じながら仕事ができる。
職員のスキルアップについては、研修を積極的に受けてもらうようにしています。専門的な研修や県外研修に対して、年間1千万円を投じたこともありました。いまでも事業承継の第一人者である髭正博税理士などを招致して教えを受けています。
また、最近言い出したのは、「インターネットを過信するな」ということ。インターネットは便利ですが、情報の正確性や鮮度は完全ではない。「足を使って覚えろ」「専門的なものに関してはちゃんと本を読め」といってしまいますね。
沖縄に入っていない法制度やビジネススキームを仕入れてきて、沖縄の企業のビジネスチャンスにつなげる。山内税理士はそういったことを常に考えているという。東京で税理士を続けるのではなく、沖縄に戻って税理士業を行うことにした背景には、“郷土愛”が大きく影響しているようだ。
沖縄にはやはり特殊な部分もあって、たとえば相続問題。トートーメー(沖縄の家庭で継がれる位牌)を継ぐのは長男なのですが、いない場合は男系の血縁で定められた者が継ぐ。財産も受け継ぐのが慣わしで、この相続時に多くの人が悩みを持つわけです。ほかにも、軍用地の問題があるのも沖縄ならでは。そこで、「沖縄版 相続税の実際」という書籍を発刊しました。
「沖縄の発展に寄与したい」
もちろん納税者が読んでくれることも想定していましたが、実は、同業者や他士業の方、税務関係者に読んでいただきたくて書いた部分もある。繰り返しになりますが、沖縄の発展に寄与したいと考えているもので。
将来的には、沖縄という地理を生かして、全国の企業のグローバル化をサポートしたい。
それと共に、数人の専門家でキャラバン隊を組んで、離島に住む人の生活に関する悩みを解決していきたいというプランも頭のなかにあります。
※掲載許可済






