第六章

経理の入り口を改善することから


顧問先の経営改善のために、やらなくてはいけないのは自社の財務状態を把握することです。誰もがわかってはいるけどなかなか出来ない会社が多いのです。黒字なのか赤字なのか、資金の流れはどうなっているのか分らないのに指導することは出来ません。検査もせずに問診だけで手術をするようなものです。

こういう問題は大半の会社が抱える悩みでした。経理員を配置してもタイムリーな経営資料があがってこないことに、経営者は困っていたのです。私は平成9年頃からその問題を解決しようと、この問題に取組んでいました。「経理コンビニ」というしくみです。

経理の入り口を改善することからその結果がよい方面に現れ、事務所内での合理化効率化が大幅に図れました。顧問先でも経理がシンプルになって財務諸表がスムーズにあがるようになっていました。世の中のPCがウィンドウズで落ち着いてきた頃でありましたので、更にその改革を推し進めていくことにしました。顧問先の経理のしくみを十分にヒアリング・分析し経理の仕方を改善します。

顧問先では経理に関してもっと自立していただき、税理士事務所がいただく顧問料を訪問回数減少と共に安くすることにしました。 顧問先と私達税理士事務所両方においてメリットになることでした。



シンプル イズ ベスト

経理が改善されても、決算申告書はやはり制度会計のために行われている要素が濃く、税務署への申告用に間に合えばいいだろう・・・という感じで自社に役立てている顧問先は少ないのが現実でした。兼ねてからこの状況には理不尽さと空しさを感じていました。

損益計算書や貸借対照表だけでなく、キャッシュフロー面から経営者に対して真実の姿を教えることが大事ではないか?

そう思い経営者向けの分りやすい診断ツールを探していました。その頃出会ったのが「決算書すっきりシート」です。これまでたくさんの分析ツールを見てきましたが、健康診断書の検査数値のように細かく分析しすぎているので、経営者にとっては何をどれくらい頑張れば良いのか分りにくいのです。この決算書すっきりシートは、私が思い描いた指導方法にピッタリ合致しました。

経理の入り口を改善することから
それまで混沌としていた頭の中が私もスッキリしました。  シンプルな三つの指標だけなので経営者に説明するととても分りやすい、「これなら出来そうだ」といって喜んでもらえます。この出来そうだと、経営者が思えて初めて経営指導はスタートするのです。税理士として手応えを感じる瞬間です。

税理士になって25年余り、私が歩んで学んできた知識と経験をギュッと絞り込んだらとてもシンプルになりました。
経理コンビニで経理を改善するお手伝いをして、決算書すっきりシートで顧問先が経営改善していくと、嬉しくて自然と笑顔がこぼれます。






TOP